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動物たちの愉快な日常
童話

童話『ツブツブ村の餅の尽きない甕』〜第四章 村が二つに分かれて争う〜

さて、パックがお菓子を無料で村の人たちに配り始めてから三年くらいが経ちました。三年前、美味しいお菓子を食べて宴会をしていた姿はどこへやら、皆毎日の餅のお菓子に飽きており、不満を口にするようになっていました。また、不思議と餅のお菓子を食べても食べてもお腹が満たされなくなってもいました。

「あぁ、今日もこのお菓子を食べるのか。煎餅もおはぎも団子も飽きてきた。もっと美味しいものはないものか。あぁ、それにしてもお腹が空いた。最近は食べても食べてもお腹が空いて仕方がない。餅以外のものを食べようにも空腹で農作や漁をする力も出ない」。

パックは人々の不満を耳にして、甕の中の餅についていろいろなことを考え始めました。

「皆が言うとおり、ずっと同じ餅のお菓子を食べるのも確かに飽きた。何か味なり食感なりを変えるべきだろうか?お腹が満たされないのもこの甕の餅の栄養が偏っているのだろうか?根本的にこの甕の中の餅にいろいろ手を加えてみたいなぁ。でも、昔この甕をもらった時に『きれいな水以外は甕に入れるな』と言われたような…」。

パックは徐々にお菓子屋さんとして自分がやりたいように甕の中の餅に手を加えたい気持ちが強くなっていきましたが、甕をくれた老人の一言が気になって手を出せずにいました。

そんな時、村の中の一部の人々が、パックが餅が尽きない甕を持っているらしいと勘づき始め、空腹もあって、自分がそれを奪ってしまおうと企み始めました、

「パックのやつ、どうも一人だけ食べ物に困らないと思ったら、餅が尽きない甕があるらしい。腹が減った。それを奪ってたくさん食べようじゃないか。ついでにそれを使って餅を売りさばいて一儲けもしたいところだ」。

そうして、その人たちはパックのお店に来るたび、お店の厨房を覗き見るようになりました。そうして仲間内でひそかに話し合いました、

「どうやら厨房にあるあの茶色い甕が餅が出てくるというやつなんじゃないか。それと分かればあとはどうやってそれを盗むかだ。ああ、腹が減った。すぐにでも奪いに行きたいものだ」。

パックは徐々にその人たちが何かを探している様子に気づき始め、何やら一部の人々が自分の持っている餅の尽きない甕を狙っているのだと悟って恐ろしくなりました。

「ああ、どうしよう。あの人たちは僕の持っているこの甕が餅の源泉だと気づいているのかもしれない。餅はあげてもよいけれど、この甕だけは誰にも渡したくない。きっとすぐにでも盗みに来るだろうな。どうしたらよいのだろう…。そうだ、とびっきり美味しいお菓子をたくさん作って人を雇って甕を守らせよう!」

パックはとうとう決断しました。急いで甕に水と塩と砂糖と、お菓子屋さんとして自分が知る限りのいろいろな高級な食材を入れて、大量の高級なお菓子をこしらえました。そしてまずはパックが自分で一口食べてみると、美味しいのなんの!!パックにとって最高傑作のお菓子の完成でした。パックは急いでそれを持って村の目つきの鋭そうなたちに配り、甕の護衛として雇い入れました。

さて、こうして目の鋭い男たちがパックのお菓子屋さんを守っているので、盗人たちは甕を盗みたくてもできなくなりました。そして、盗人たちは作戦会議をしました、

「あんな目が鋭い男たちが甕を守っていたのでは簡単には盗めそうもないな。こうなったらこっちも人を増やして力ずくで奪ってやろう」。

盗人たちは人々に餅の尽きない甕のことを話して仲間を増やしていきました。一方で、少し時が経つと、村人たちはパックのお店の護衛が大変美味しいお菓子で雇われているということを噂で聞いて、自分にもそれを食べさせてほしいと群がってきました。パックはその人たちに言いました、

「皆さんにこの美味しいお菓子を食べさせたあげる代わりに、今まで皆さんを養ってきた餅の尽きない甕を悪人たちに奪われないように守ってください」。

こうして村は甕を奪おうとする悪人たちと、パックの味方になって甕を守ろうとする人たちに分かれてしまいました。ただラットだけが餅を中心とした争いとは関係なく一人平穏に過ごしていました。

ABOUT ME
マシュー
自分の持っているものを使いたい。神様のために生きたい。それが小さな自分にもできる大きなこと。「この人生を後悔のないように生きるにはどうしたらよいのだろう」と、かすかにくすぶる火種のような、ささやくそよ風のような一人の地球の民。