CGM New Harmony Church

動物たちの愉快な日常
童話

童話『チンシルと虹色の花』〜第七章 都の中心〜

翌日、チンシルの家、大きな城に花売りが訪ねてきました。
花売り:「今日は都の中心街へ行きましょう。王様の城もそこにあります。あなたが一番得意
な楽器も持っていきましょう」。
二人は馬車に乗って中心街へ出かけました。中心街には花売りが言っていたような宙に浮くハ
ートや星の建物もあり、光り輝く螺旋状のピラミッドのような建物もありました。
チンシル:「わぁ、建物が宙に浮いてる!どういう仕組みなんですか!?」
花売り:「詳しいことは私にも分かりません。ただ、この都においては飛ぶことだってできる
ように、どこか都の外とは違う法則が働くというのは確かです」。
二人がさらに都の中心に向かって歩いていくと、今まで見たどんな山よりも高い山があり、全
体が金やダイヤモンドでできているように見えました。そして、山からは大きな滝が流れ落ち
ていました。山の手前は大きな広場になっていて、滝の近くには舞台が設置されており、舞台
の奥には玉座のようなものが置かれていました。
チンシル:「なんて大きくて高い滝…。」。
花売り:「あの滝は山の頂上にある王様の宮殿から流れているんですよ。王様の宮殿はこの都
で最も高いところに建てられていて、王様はいつもそこから都の様子と都の外の様子を見聞き
しておられるのです」。
チンシル:「都の外のこともですか?」
花売り:「そうなんです。私がチンシルさんの村に種を売りに行ったのも、王様がその辺りで
大切に花を育ててくれそうな人たちがいるとおっしゃったからなのです」。
チンシル:「本当ですか?それはうれしいです。でも、悪いことをしたらそれも王様は分かっ
てしまうんですね」。
花売り:「もちろんです。特にあなたはもうこの都の住人なので、もしあなたが村に戻って悪
いことをしたらすぐ王様の耳に入りますよ」。
チンシル:「気をつけます…。ところでこの広場は何のために使うのでしょう?」
花売り:「ここは王様が挨拶をしたり、イベントを開いたりする広場なのです。舞台の上に上
がるには王様の許可が必要です」。
チンシル:「もしイベントがあれば見に来たいです」。
花売り:「チンシルさん、笛は持ってきましたか?」
チンシル:「はい、持っています」。
花売り:「良かった。今日がそのイベントの日ですよ。新しく都に移り住んできた人たちに王
様が挨拶をしに来られます」。
チンシル:「え、今日ですか!?どうしよう、何も準備してきていません」。
花売り:「大丈夫です。チンシルさんがこれまでたくさん演奏してきた曲を王様の前で披露し
て差し上げればよいだけです。さあ、ちょうど役人たちが入ってきましたよ」。
少しすると、舞台に明かりが点き、役人たちが広場に並びました。そして、その中の一人がラ
ッパを大きく吹き鳴らしました。それと同時に山の上から花火が降ってきました。

役人:「都の皆さん、ようこそお集まりいただきました!これから新しくこの都に引っ越され
た方々の歓迎式典を行います!まず初めに、王のご入場です!」
役人がそう言うと、山の上から舞台に光の道ができ、その中を四枚の翼を持つ大きな鷲に乗っ
た王が通って降りてきました。周囲では人々が皆歓声を上げて王様を迎えていました。
都の住人:「王様、万歳!王様はいつ見ても素敵でいらっしゃるなあ」。
チンシルが見ると、王は金色のような銀色のような長い髪をしていて、とても背が高く、優し
そうな、それでいて威厳のある顔立ちをしていました。王は鷲から降りると、人々に笑顔で手
を振りながら舞台の上の玉座に就きました。それからまた役人が言いました。
役人:「ではこれから新しく都に移り住むことになった者たちから王への挨拶を行ってもらい
ます!では、名前が呼ばれた方は順に舞台に上がり、それぞれ得意なことを披露してくださ
い!」
そうして、一人ひとり名前が呼ばれて舞台に上げられ、世界に一つしかない美しい花を咲かせ
た思い出が大きなスクリーンに投影された後、特技を王に披露していきました。皆楽しい思い
出もあればつらい思い出もあって、一生懸命努力しながら成長してきたことが分かりました。
チンシルは自分がその舞台に立つことを思ってとても緊張していました。
役人:「では次の方、タマムシ村のチンシルさん!舞台へお上がりください!」
チンシルはどきっとして、慌てて舞台に飛び上がりました。チンシルの頭の中は真っ白でした
が、周りからは大きな拍手が届けられました。チンシルが舞台の中央まで進むと、チンシルが
花を育てた思い出がスクリーンに映されました。自分の思い出を見ているとチンシル自身も感
動して涙があふれてきました。そして、映像が終わる頃には頭の中はすっきりとしていて、そ
の後王の前で自信を持って笛を吹きました。
演奏が終わって王の顔を見ると、あまりにも優しい顔で笑いながらチンシルの方を見て拍手を
していました。その表情にチンシルは吸い込まれそうになりながら、一礼をして他の新しい住
人たちと並びました。
全ての人の挨拶が終わり、王が立ち上がって話し始めました。
王:「新しくこの都に来られた皆さん、歓迎します。皆さんが良い時も悪い時も経験しながら
美しく成長してこられたのを見て私もとても感動しています。これからは皆さんの特技をもっ
と伸ばしながらこの都をもっと活気あふれるところにしていってほしいです。そして、一緒に
働きながらこの都をますます発展させていきましょう。
最後に皆さんにお願いがあります。皆さんが育てた花からもうすぐ種が取れるでしょう。その
種を是非人々に配ってあげてください。多くの人が皆さんのように輝けるようにと私は願って
います」。
そう言い終わると、王は再び玉座に就きました。そうして役人がその場をしめくくって、新し
い住人の歓迎会は終わり、王は来た時と同じように鷲に乗って光の道を通って昇っていきまし
た。

チンシルが舞台から降りると、花売りが声をかけてきました。
花売り:「チンシルさん、こっちです。素敵な演奏でした。王もすごく喜ばれていました
よ」。
チンシル:「最初はとても緊張しましたが、自分の思い出を見ているうちに感動して頭がすっ
きりしました。
これから私はどうしたらよいのですか?仕事をするのですか?」
花売り:「はい、明日からはチンシルさんにもいろいろ仕事の依頼が来るでしょう。都はまだ
まだ発展していくので、大忙しです。でも、退屈な仕事は一つもありません。皆自分の得意な
こともやり、時には苦手だったこともやりながらさらに成長していくのです」。
チンシル:「花から種が取れるというのはいつ頃ですか?」
花売り:「ここで一年くらい働いた頃になると思います。またその時話をしましょう」。
こうしてチンシルの楽しくも忙しい都での生活が始まったのでした。
ABOUT ME
マシュー
自分の持っているものを使いたい。神様のために生きたい。それが小さな自分にもできる大きなこと。「この人生を後悔のないように生きるにはどうしたらよいのだろう」と、かすかにくすぶる火種のような、ささやくそよ風のような一人の地球の民。