CGM New Harmony Church

動物たちの愉快な日常
童話

童話『農夫と青いカササギ』〜第五章 ハコブネ村の過去〜

二人が山の奥深くの祠に着くと、カササギは二人が来るのを待っていたかのように二人の頭上の木の枝に降りてきました。そして、何も言わず二人を見つめていました。二人もその間(ま)が重苦しく感じられ、何も言わずにカササギを見つめていました。

しばらくして、トモヨが心を決めて口を開きました、

(トモヨ)「カササギさん、今まで道を示していただいたのにろくに感謝もせずに悩みごとばかり打ち明けてすみませんでした。今日は夫と共にあなたのおかげで手に入れた畑に隠されていたお金と、あなたのおかげでたくさん収穫して家に蓄えてあった穀物を少しずつ持ってきました」。

すると、カササギもまた口を開きました、

(カササギ)「カカカ。私にはお金は必要ありませんが、その感謝の心を受け取りましょう。そしてこれまでのことも水に流してあげましょう。ただし、私はあなたの夫の言うとおり、使いあって、主人ではありません。あなたがた二人が感謝すべき主人は他にいます」。

タダシはトモヨの隣に立っていながら心の中で激しく動揺しました。

(タダシ)「え!?そんな馬鹿な!本当に言葉を話している!それに、どうしてこの鳥は僕たちの会話を知っているのだろう!」

カササギはタダシが動揺しているのを見て言いました、

(カササギ)「どうして知っているのか、と言うのですか?私はただ見たこと、聞いたことを話しているだけです」。

タダシは恐ろしくなり、自分でも何を言っているのか分からずに言いました、

(タダシ)「私たちは一体何をしたらよいのでしょうか?」

カササギはそれを聞いて言いました、

(カササギ)「カカカ。ではまずは学ぶことからしたらよろしい。一つ昔話でも聞かせてあげましょう。時間はあるでしょう?今あなたがたには仕事がないのですから」。

タダシと妻のトモヨは言い返す言葉もなかったので、ひとまず昔話を聞くことにしました。

(カササギ)「昔々、人里離れた寂しい場所に人気のない山がありました。その山は人が訪れることがないので美しい自然がそのまま残っていました。ある時、その山のどこかに不思議な世界につながる門があるという伝説を本で読んだ青年が、その門を探しにその山に一人で住むようになりました。その青年は山で過ごすうちに、危ないところから奇跡的に助かったり、雨の少ない年に偶然家の近くで井戸を掘り当てたりと、さまざまな不思議な体験をして、山には人を顧みて助けてくれる神が住んでいるのだと思うようになりました。その時から青年は時折不思議な夢を見たり、不思議な声を聞いたりして、不思議な世界についての知識を得るようになりました。

しばらく経って、その青年は自分の身に起こったことと不思議な世界の知識を人々に伝え、人々はその青年が話していることを確かめようと山を訪れるようになり、訪れた人は皆その山には神がいると信じるようになりました。

そうして山に次々と人が移り住み、その村で生まれた人も出てきて、村は大きくなっていきました。村人たちは山の神を恐れて悪いことをせず、平和に仲良く暮らしていました。

しかし、時が経ってその青年も、青年の話が正しいことを確認して山に移り住んだ人々も死んで、その村から次第に山に神がいると信じる人が減っていき、村では他の場所と同じように争いや悪い行いが増えていきました。

そうしてある時、村で一人の人が神の声を聞きました。『舟を用意しなさい。あと百二十年したら村が大雨で沈む』という声でした。それから昔の年の数え方でいうところの百二十年、つまり今の年の数え方でいう十年が経って、村は実際に大雨で沈み、多くの人が亡くなりました。ただ、その話を信じて舟を用意しておいた人は助かりました。

それから生き残った人々は山に祠を造り、その時の出来事を忘れないようにと小さな舟を祠に飾りました。それからというもの、人々は神を恐れ、かつてのように仲良く平和に暮らし、年ごとにいつも顧みられる神への感謝のしるしとして収穫の幾分かを捧げるようになりましたとさ。

はい、昔話はここまで。何か感想あればどうぞ」。

タダシとトモヨは実際に自分たちがさまざまに助けられたことを思い返し、カササギの話が本当のことなのだと信じました。そして、二人はカササギの話に出てきた村が自分たちの村の話であることを分かって、昔大雨で村が沈んだのだと思うと恐ろしくなりました。また、トモヨにはカササギが自分に「追いやられた」、「盗人呼ばわりされている」と話してくれたことと、今は祠に誰も近づかないことが結びついて、とても申し訳ない気持ちになりました。

(トモヨ)「カササギさん、あなたの話を信じます。私たちもまた不思議な出来事を通じてさまざまに助けていただきました。でも今や私たちは畑を追い出されて仕事を失った身であって、何も人に見せられるものがありません」。

(カササギ)「ふむふむ、いろいろと助けられたのに結局何もうまくいってないとバカにされるって?仕方ないですね。じゃあ頑張って成功してくださいね。頼みますよ」。

そう言うと、カササギはまた飛び去っていきました。

ABOUT ME
マシュー
自分の持っているものを使いたい。神様のために生きたい。それが小さな自分にもできる大きなこと。「この人生を後悔のないように生きるにはどうしたらよいのだろう」と、かすかにくすぶる火種のような、ささやくそよ風のような一人の地球の民。