CGM New Harmony Church

動物たちの愉快な日常
童話

童話『チンシルと虹色の花』〜第二章 種が芽を出す〜

チンシルは次の日からいつも以上に家の家畜の世話を手伝ってお父さんとお母さんを喜ばせま
した。
チンシルの母:「あなた、最近うちの手伝いを頑張ってくれているけど、何かあったの?」

チンシル:「自分が好きなことや得意なことで誰かを喜ばせるときれいな花が咲くんだっ
て」。
チンシルの母:「あなた、それっていつかうちの村に来ていた花売りが売っていた種の話か
い?世界に一つだけの色と形で咲く花なんて怪しいものだよ」・
チンシル:「咲いてみないと分からないじゃない。それに、誰かに喜んでもらえるなら悪いこ
とじゃないでしょ?」
チンシルの花:「確かに悪いことではないけど、別に無理はしなくていいのよ。あなたが喜ば
せようとしても皆が同じように喜んでくれるわけではないから、そんなことでつらい思いをす
ることにもなりかねないわ」。
チンシル:「そうなの?」
チンシルの母:「うれしく思うことは皆違うからね」。
チンシル:「そうなんだ。喜ばせるって簡単じゃないんだね」。
チンシルがそうして過ごすうちに、二週間が経ちました。いつものように庭を見てみると、な
んと、種が芽を出していました。
チンシル:「やっと芽が出た。でも芽は普通だな。もしかしたら私が頑張らなくても出たんじ
ゃないかな」。
同じ頃、ポリーはあまり熱心に誰かを喜ばせたりしておらず、種は相変わらず地中に埋まった
ままでした。
ポリー:「なんだ、ちっとも芽が出ないじゃないか。だめな種だったのかな。チンシルのはど
うなっているんだろう」。
ポリーはチンシルの家に行ってチンシルに花の様子を訊いてみました。
ポリー:「花売りからもらった種はどうだい?」
チンシル:「ようやく芽が出たよ。私が一生懸命お父さんとお母さんの仕事を手伝って喜ばせ
たからなのか、自然に芽が出たのかわからないけど」。
ポリー:「僕のは芽が出てないよ。ちょっとは誰かに喜ばれることをしてみようかな」。
ポリーはそれから家の手伝いを少しだけ頑張って、お父さんとお母さんを喜ばせてみました。
二週間くらいして、ポリーが庭を見てみると、ポリーの種もようやく芽を出していました。
一方、チンシルはその間、自分が誰かを喜ばせなくても花は育つんじゃないかと思って、何も
しないで自分の好きなように過ごしました。そうして二週間が経って庭を見てみても、花は全
く成長していませんでした。これを見てチンシルはやはり人を喜ばせることで花が成長すると
いうのは本当なのかもしれないと、再び日常の中でちょっと良いことをして誰かを喜ばせて過
ごしました。
ある時、チンシルは市場で商人が要らなくなった青い瓶を持って帰ってきました。いつものよ
うに溜め込んでいたガラクタと一緒に棒で叩いて音楽を楽しんでいると、庭の花のことが思い
浮かびました。

チンシル:「そうだ、花に音楽を聞かせるとよく育つと聞いたことがあるな。庭の花にも聞か
せてみようかな」。
そうしてチンシルは庭に出て音楽を奏でました。花の芽は何やら喜んでいるように見えまし
た。
チンシル:「早く育ってきれいな花になりますように」。
種を植えてから半年くらい経って、庭の花はチンシルの背丈よりも大きくなり、ようやく緑色
の蕾をつけ始めました。
チンシル:「半年経って、ひまわりくらいになったけど、早く咲かないかなぁ。どんな花にな
るんだろう。普通の花より大きいから、きれいな色の花が咲いたら素敵だろうな。花を咲かせ
るまでにどれくらいかかるか花売りのおじさんに聞いておくんだった。ポリーの花はどれくら
いになったんだろう」。
チンシルがポリーの家に行っていると、ポリーも庭に立って背の高くなった不思議な花の芽を
見ているところでした。
チンシル:「ポリーのはまだつぼみを付けてなさそうね。でも背たけは伸びているみたい」。
ポリー:「一生懸命育てているのに、こんなに成長が遅いなんて。花が咲くまでにどれくらい
の時間がかかるか分からないよ。僕は誰かに喜んでもらえるような得意なことなんてないから
この花を育てるのに向いてないんだ」。
チンシル:「そんなことないよ。ポリーは確かに生意気で人から嫌われやすいけど、お父さん
は大工だから、ポリーもきっといろんなものを上手に作れるんじゃないかな」。
ポリー:「チンシルだって思ってることをそのまま言うから皆を怒らせるじゃないか。その性
格を直さないと人からは喜ばれないと思うよ。
それはそうと、そろそろ僕も小さいものから作れるように練習してみようかな。チンシルもせ
っかく音楽が好きなんだから、良い楽器があればもっと多くの人を幸せにできると思うよ」。
チンシル:「良い楽器か。誰かがくれたらいいんだけど…」。

ABOUT ME
マシュー
自分の持っているものを使いたい。神様のために生きたい。それが小さな自分にもできる大きなこと。「この人生を後悔のないように生きるにはどうしたらよいのだろう」と、かすかにくすぶる火種のような、ささやくそよ風のような一人の地球の民。