風に乗り
海を渡ってきた
一粒の種
静かな土地に落ちて
芽を出し
花を咲かせ
その場所を
こじんまりと彩った
一握りの花々
やがてまた風に乗せて
遠く遠くへ便りを送り
ある地では
氏族を為して壮麗に飾り
ある地では
霜が降りるように化粧をした
時が経ち
初めの花はもうないが
今なお花々が
始まりの地で
ひっそりと咲いていた
小さくも
決して忘れ去られることのない園
一粒の種を運んだその風が
今日もそこに向かって吹いている
今は寂れて見えるだろうが
各地で芽吹いた花々が
やがて多くの種を携えて
あなたを訪れるのだな
詩 ~風媒花~
