CGM New Harmony Church

動物たちの愉快な日常
童話

童話『チンシルと虹色の花』〜第三章 個性の花〜

チンシルはいつか良い楽器が手に入ったらと思いながら、一年、二年と、いろいろと楽器代わ
りのガラクタや叩く道具を入れ替えながら、きれいな音を出すように練習をしました。そうや
って努力して、人に楽しい思いをさせてあげようと聞かせると、喜んでくれる人もいれば、
「うるさい」と言って嫌がる人もいて、つらい思いをすることもありました。
また、少しずつ思ったことを口にしてしまう癖も直してはいましたが、たまにその癖が出てし
まって、せっかく音楽はうまくできたのに気分を悪くされて台無しになったこともありまし
た。
そんないろいろなことがありましたが、花は少しずつ背丈が伸びて、つぼみも大きくなり、も
う少しで花が咲きそうでした。ただ、そうやって誰かが喜んだ時だけ成長していく花を見なが
ら、チンシルはふと憎らしく思って花に言いました。

チンシル:「人は私の音楽を喜ぶ人もいれば嫌がる人もいる。それなのに誰かが喜ばないとあ
なたは成長しないの?私がつらい思いをするときも同じ思いでやっているのだから成長してく
れたっていいんじゃないの?」
その時、チンシルはふと「無理をする必要はないのよ」というお母さんの言葉を思い出しまし
た。
チンシル:「そうだ、花を咲かせることばかり考えて無理やり人を喜ばせようとしていたけ
ど、まずは音楽をもっとうまくなりたいな。そうしたら、きっともっと皆も喜ぶ人が増えて、
花ももっと早く成長するかな」。
チンシルは心が楽になり、音楽に夢中になって取り組むようになりました。そのうち、楽器を
鳴らすだけでなく歌も歌うようになりました。
さて、ポリーはというと、大工の手伝いをしながら小さなおもちゃを作って小さな子たちにあ
げては喜ばせていました。花に対しては強い風で倒れないようにと囲いも作ってあげました。
そうしてポリーの花も成長して、もうすぐ咲きそうなくらいつぼみも大きくなりました。
ポリー:「もう少しで花が咲きそうだ。もっといろいろなものを作れるようになって、もっと
いろいろな人を喜ばせられるようになりたいな。僕には何も人を喜ばせられるものなんてない
と思っていたけど、僕にもちゃんとあったんだな」。
ポリーは自分が得意なこと人を喜ばせるのがうれしくて、花のためだけではなく、皆の笑顔の
ためにもっと自分の得意なことを伸ばそうと、お父さんからも学びながらさらに腕を磨いて、
もっと大きな物を作って村の人たちを喜ばせました。
チンシルもポリーも自分の好きなこと、得意なことを見つけて、一生懸命に取り組んで輝いて
いるのでした。
ABOUT ME
マシュー
自分の持っているものを使いたい。神様のために生きたい。それが小さな自分にもできる大きなこと。「この人生を後悔のないように生きるにはどうしたらよいのだろう」と、かすかにくすぶる火種のような、ささやくそよ風のような一人の地球の民。