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動物たちの愉快な日常
童話

童話『ツブツブ村の餅の尽きない甕』〜第一章 ツブツブ村のパックとラット〜

あるところにツブツブ村という小さな村がありました。村の近くにはきれいな川が流れていて、皆その水を使って農作をしたり、川で釣りをしたりして暮らしていました。ツブツブ村の背後には高い山があって、そこを越えるときれいな川が流れる渓谷がありました。その渓谷は霧がよくかかる所で、そのどこかに仙人が住んでいるという噂もありましたが、山を越えるのは大変で、人が住めるような場所でもなかったので、渓谷に行く人は誰もいませんでした。

さて、村での農作や漁は収穫こそ少ないけれども、不思議と今まで村人たちが食べ物に困ることはありませんでした。しかし、村の住人たちはいつもいろいろなことに対して不満を口にしていて、村にはどこか暗い雰囲気が漂っていました。

そんなツブツブ村に小さなお菓子屋さんを営むパックという一人の青年がおり、村人の中でひときわ大きな体格をしていて、明るい性格の持ち主でした。パックは村の人たちとは違って不満を口にすることはめったになく、食べるものがなくて困っている人がいればお菓子を振る舞ってあげたり、重い荷物を運んでいるお年寄りがいれば一緒に運んであげたり、喧嘩をしている村人がいれば間に入って仲直りさせてあげたりと、いろいろなところで人助けをしていました。パックは体も大きく、行いも良かったので、ツブツブ村では慕われていました。

またパックの作るおはぎはとても美味しいと評判で、村の人たちはよくパックのお店におはぎを買いにきました。ただ、おはぎを作るときに使う餅はたくさんあるわけではなく、美味しいけれどもすぐに売り切れになってしまうために皆から残念がられていました。

ところで、村にはパックと同じように不満を言わずに暮らす人がもう一人いました。それはラットというお医者さんでした。ラットはパックより年下で、広い心で村人たちの話をよく聞いてあげながら、さまざまな病気を治してあげていました。しかし、ラットは餅が大の苦手で、パックや村人たちがどんなに勧めても、パックの作ったおはぎを一切食べたがらないのでした。また、ラットは体も小さく地味だったので、パックのようには村人たちに慕われることはありませんでした。

ABOUT ME
マシュー
自分の持っているものを使いたい。神様のために生きたい。それが小さな自分にもできる大きなこと。「この人生を後悔のないように生きるにはどうしたらよいのだろう」と、かすかにくすぶる火種のような、ささやくそよ風のような一人の地球の民。